情シス生存戦略

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私は事業会社の情シスとして正社員で働いているわけですが、情シスという職種に一抹の不安を感じています。
情シスやられている方はたぶんみんな感じているのではないでしょうか。

日本から情シスという職業がなくなるとか、必要とされなくなるという類の不安ではありません。
どんな会社でも現代で仕事をするにはIT基盤が必要で、それを安全に快適に運用していくには情シスが必要なのは変わらないと思います。

不安なのは、ぶっちゃけ稼げるかどうかというところです。

何を感じているかというと、情シスって下記の3つが稼ぎにくさの特徴だと思っています。
・キャリア設計の難しさ
・高度人材の需要の少なさ(本来はもっと重要だと思っていますが)
・会社への依存度の高さ

それぞれ今の思いを整理していきます。


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キャリア設計の難しさ

そもそも情シスって便利に使われすぎていて、会社会社で求められることや存在意義が違います。
ヘルプデスクもあれば、セキュリティもあれば、ネットワークもあれば、システム開発もあれば、IT企画(経営戦略)まで・・・
ここでは情シス=会社運営に関わるあらゆるITを一手に担ってきた猛者を想定します…

で、全部をこなしていっても結局専門性では専門家には勝てません。
セキュリティについてジェネラリスト的な情シスが専門家より適切な判断をするのは難しいと想像できます。
ITを重視している会社ならなおさら専門家を取り入れます。
では、全部こなしてきた情シスの立ち位置は?

よくて中間管理職みたいな場所で止まってしまいます。
会社の全体感を知っているので調整役はこなせると思いますが、やはり上位レイヤーのポストは専門性が高い人の方が好まれるでしょう。正しい判断ができるので。
それに、会社の全体感(事業知識)は専門家も参画してから時間をかければ習得していきますのでジェネラリストの情シスの優越性って少ないと思います。

一方、ITをそこまで重視していない会社、ITにそこまで力を注げない会社は専門家を入れることができません。
そういう会社では情シスが重宝されます。全てをこなす猛者として。
ですが、ITにそこまで投資しないのでやはり情シスのパイは限られています。

そう考えると、IT投資可能な大きい会社では中途半端な立ち位置で稼げず、IT投資できない会社では重宝されるもののパイが少ない。稼げません。あらら。

高度人材の需要の少なさ

需要はありますよ。需要はあるんですが相場が低い。
正確にいうと、適切な相場の働き口が非常に少ない。
これって日本市場で情シスもといIT管理の優先度の低さの表れだと思います。
(日本しか知らないので海外がどうこうってことじゃないですよ)

需要が少ないと表現したのは解像度の高いIT管理者、情シスを求める需要が少ないということです。

つまり、会社のIT管理全部やってください。年収500万で。という市場感に尽きます。
500万は求人情報みているとなんとなくここら辺がアベレージかなと思っただけですので深い意味はありません…

情シスという言葉が多義すぎて解像度が上がらない、経営者がITを勉強しないので自分の会社に必要なIT管理が分からない、情シス自身も自分の専門性や武器になることが分からないので戦えない
色々あると思いますが、そもそも高度な人材、高度ってなに?というところが誰もわからないまま何となく情シスという職種が生まれてズルズルベッタリ来ているんだと思います。

それでこういう高度な人材は希少だから、高い金出しても必要なんだ、という機運が生まれず生かさず殺さずな情シスポストがあふれているんだと思います。
高度人材の需要は少ないです。稼げる条件の需要が少ない。とほほ。

会社への依存度の高さ

単純に、その会社でしか通用しないことばっかり蓄積していく職種です。
やっぱり会社にツーカーの状態でいることを求められますから、その会社でしか通じない方言みたいな頭の使い方になって「自社情シスの常識他社情シスの非常識」みたいな状況って結構起きていると思います。

特に最近感じているのは、私が採用にも関わるようになったからですが、30歳以上になると具体的な経験、スキル、IT管理への志向を問われるようになります。
社会一般的に1社に長く在籍することは立派という価値観がまだまだありますが、情シスにとってはその会社でしか通用しない経験に長く漬かっていることが本質的に価値になるとは思いません。

何が言いたいかというと、今までの経験が自社でしか通用しないようなことばかりだと転職時に、
「ウチにはフィットしない経験しかない、採用したとしてもこれから育てるには難しい年齢だ。」
という判断をされやすくなって苦しくなっているのを結構見てきました。

頑張って情シスのスキルを積んで、仕事を覚えて一人前になったつもりでも実は市場価値が低い人材にしかなっていなかった、という悲しいストーリーが多いのが情シスだと思います。
悲しきかな情シス。

それでも情シスっていいとこあるよね

日本の情シスって難しいと思っています。他の職種を知っているわけでも外国の事情を知っているわけでもありませんが。
特に当たり前にITを活用できることを担保する縁の下の力持ち的な仕事も多いので日頃感謝されたり意識されることも少ない。
さらに、お金も稼ぎにくい。

それでもやっぱり情シスのいいところもあるはずです。
情シスが自己実現の場である人もたくさんいるはずです。
会社を運営するために必要なIT基盤や活用の仕方を作り上げる、組織のITの仕組みを形にするっていうのは魅力ではないでしょうか。
現代の会社運営にはITが必須です。まず食いっぱぐれはないでしょう。
ひとまず、あとは稼げればいいわけです。

で、どうするか。私がやっていることを残します。

・ヘルプデスク、サービスデスクではなるべく担当者にならない。
 問合せ対応ばかりやっていても将来が不安です。
 管理者やサービスデザインの立ち位置に回るようにしています。
・IT企画側のメイン担当になる
 事業会社のITがどうあるべきか、どう実現するかというレイヤーで経験を積んだ方が将来につながると思っています。
・副業をする
 これは戦略というより縁だったのですが、中小企業の情シスを週一副業でやっています。
 中小企業はIT担当者がそもそもいないことが多いので、情シスには週一でもなんでも相談役としていてくれると助かるというニッチ需要があることに気が付きました。
 じつはこれが今一番この記事で言いたい裏テーマだったりします。

情シスは副業しやすい。需要もある。

副業のススメってなると一気に胡散臭くなるので一番下に持ってきましたが、
情シスってニッチな需要があります。

中小企業は本当にITについてわからないまま事業運営しているところが多いです。
どんな会社でもヘルプデスクやっていると非IT職種のリテラシーの低さに辟易した経験があると思います。(口が悪くてすみません)

逆に言うと、週一でもITに関する相談役がいると嬉しい。専任でフルタイムで入れる余裕はないけど月数万程度で自分の会社に付いてくれる情シスがいると嬉しい。
みたいな需要は結構あります。

実際、私もそのような需要を掴んで週に一回時間をとってITに関する相談を受けたり、ちょっとしたツール(GASで作るような簡単なもの)を納品して1年以上コンスタントに収入を得ています。
うまく回せば週一も副業に時間を充てなくても合意したアウトプットが出せればOKな世界です。
そういう実績があれば色々な繋がりから仕事を貰いやすくなります。
複数仕事を貰って、それほど負荷がかからない形で収入を伸ばすことができています。

注意したいのは、あくまで本業優先であり、できることには限りがあることを予め了承してもらうことです。
メイン収入は本業です。副業では外の会社の知識や常識、副収入を期待して取り組んでいます。
言い方を変えると、本業を疎かにするのはコスパが悪いのでやめましょう。
大きいステージで情シスを経験できるのは本業ですので。
抱えすぎるとパンクするのが目に見えているのでそこだけは線を引いて自分を守っています。。。

ここで分けて考えたいのは、自分がどのように働くかで情シスの需要が変わるってことです。
・本業の情シス:高度人材の正当な需要が少ない。高給なポストは限られており難易度が高い。
・副業の情シス:高度でなくていい。ITの手助けが欲しい。高い金は出せないが難易度は低い。

自分にとってうまいバランスを見つけてスキルアップしつつ、外の世界でも活躍しつつ、収入も伸ばしつつ自分にとっての情シスという働き方を見つけられればと考えています。

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